☆騎士・レオニス大尉の剣

 国王陛下が妻の不義の子、リュクセル様をブラウエン伯爵家という臣籍に落として宮中より遠ざけたのは、我が子ではないと言うこともありましょうが、セイリオス殿下の存在がなによりも、その命を奪うことに対して歯止めをきかせたに違いありません。
 子を失う悲しみは1度で充分です〜。
 マリーレイン様を思いやったこの措置もしかし、こんどは、新たなる命と引き替えにして衰弱していかれたマリーレイン様ご自身の、この世との告別により報われるのです。
 
 陛下がマリーレイン様を失う原因となった、とも言えるレオニス大尉。
 ご自身の秘密、出生の真実を告げられてから後も変わらず、マリーレイン様をとても慕っておいでだった殿下は、どうしても、レオニス大尉とマリーレイン様との大恋愛を、息子として、大尉が一方的に、平和な家庭を荒らした間男のようにしか思えないのでしょう。
 姫様はでも、レオニス大尉に寛大です〜。悪口を聞いた験しがありません〜。
 歴史の勉強は大切だと、あれほど言っているんですけど……しくしく。
 
 陛下も、レオニス大尉も、お心うちにさまざまなことが揺れていることでしょう。
 表向きの発表は、リュクセル様は陛下とマリーレイン様の子です〜。
 宮中で目にすることのできるのは、大尉は今日も剣を捧げ、陛下はそれを受け入れているという、昔から変わらぬお姿です〜。

そろそろおわりです〜そろそろおわりです〜そろそろおわりです〜