メイ。 この手紙は、お前が残していった物だ。だからきっと、そっちに届くと思う。 微かな望みだが、俺達には他に術が無い。 俺達は、お前を取り戻す方法を探している。 シオン様は、アリサの願いにより、『女神の宝玉』というものを捜す旅にでている。雲を掴むような探し物だが、あの人ならやり通すと、お前も判っているはずだ。 信じて待て。 俺はアンフェルの村で、創造魔法に取り組んでいる。完成させれば、少しでもシオン様の助けになるはずだ。 みんなは元気だ、安心しろ。 お前の身体は、子供がいる分、魔力的に不安定になっている筈だ、おそらくかなり辛いと思う。 シオン様も子供が内包する魔力と、お前の魔力の相乗効果で、そっちの世界との折り合いが苦しくなるはずだと予見していた。 今のところは、あの人の髪によって、保護されていると思うが、一応、周囲との魔力安定の補助魔法の呪文を書いておく。 魔方陣も送るから、それを使うといい。 出産の時も役に立つと思う。できればそっちで、お前の他にも呪文を唱えられるものが居れば良いのだが、まあ、無理だろう。 せめて準備として、魔方陣でシオン様の髪の魔力を上げておけ。 お前に何度も教えたように、魔法とは、強い意志が基本だ。 今は生き抜く事。子供を守る事だけ考えろ。 他の事は俺達やシオン様に任せておけ。 この手紙が、お前の手元に届く事を切に願う。 また、会う日まで。 キール・セリアン |