シオン  「姫さんでもわかるクライン講座、現代国語担当は、このシオン様だ。ヨロシクな」
 ディアーナ 「おてやわらかにお願いしますわ、シオン」
 シオン 「こちらこそ、姫さん」
 ディアーナ 「ところでシオン。わたくしにこの前、”お願い事をこのカードに書いておいてくれ。そうすればそれが必ず叶うおまじないを知っているから”とおっしゃっていたのを、憶えていらして?」
 シオン  「よーく憶えていらっしゃいますともさ、姫さん」
 ディアーナ 「わたくし、ちゃんと宿題を果たしましたわ。ほら、もう竹に飾りましたのよ」
 シオン 「そいつは上出来。こいつは嬢ちゃんから聞いた異世界での慣わしでね。タナバタと呼ばれる伝統行事のひとつで、竹や笹とかにそのカード―短冊っつ〜んだが―を結びつけて願いを星に届けるっつ〜もんだそうだ」
 ディアーナ 「実はわたくしもメイから聞きましたのよ。すてきなお祭りですわ! あんまりすてきなので、みなさまにもわたくし、カードをお配りしておきましたわ」
 シオン 「あっちゃあ。なんでこんなにいっぱい短冊が飾ってあるのかと思えば、そういうことだったんかい」
 ディアーナ 「そろそろ、みなさまも集まるころですわ」
   
 一同 「ディアーナ姫、お茶会にお招きいただき光栄至極に存じます」
 シオン 「ゲゲッ! そろいも揃ったなぁ」 
セイリオス 「シオン、これの教師はたいへんだろう。及ばずながら、助太刀してやるぞ」
 レオニス 「…………」
 イーリス 「頂くものは、頂いてしまいましたからねぇ」
 アイシュ 「お茶菓子をもってきましたよ〜」
 キール 「不敬罪適用の死刑を宣告されては、やむをえませんので」
 ガゼル 「隊長のお供だと聞いて、張り切ってきたのに。お茶会とは……肩の力が抜けるぜ〜」
シルフィス 「よろしくお願いします、姫」
 メイ 「やっほー。遊びに来たよん♪」
 ディアーナ 「ではシオン。さっそく、星に願いを!」
 シオン 「やれやれ。そうだな、んじゃまず……ここらへんの短冊から行ってみっか?
げ。こりゃまた、汚ねぇ字だなぁ」

 「せったい隊長みたいな騎士になるぜ!」

 
シオン 「この「接待隊長」ってのは、なんだぁ?」
レオニス 「…………ガゼル、説明をせよ」
 ガゼル 「うわぁ〜。なんでその短冊がオレだっていきなりわかるかなぁ?隊長〜。それは、”ぜったい”のまちがいだってば!書き間違えちまったんだ」
 シルフィス 「(クスクス)……ガゼル、あいかわらずそそっかしいね」
ガゼル 「くぅ〜。シルフィスに言われるとは!ちょっと点が多かっただけじゃねぇかよ」
キール 「……馬鹿かお前。「せ」はこれ「ぜ」はこれだ……何で間違えられるんだ?」
ガゼル 「うぐ……」
メイ 「接待ねぇ・・・公費を乱費して会社をつぶすハゲオヤジはどこにでもいるのよねぇ。パブ? 料亭? マージャン? ゴルフ?ついでに綺麗〜なお姉ぇさん達♪?」
レオニス 「ゴル……??? ガゼル!」
ガゼル 「それくらいで勘弁してくれよ〜、メイ〜」
 メイ 「あはははは」
 セイリオス 「もしこれが事実なら笑い事ではないぞ、まったく」
 シオン 「まあまあ、それじゃあ、次にいってみよう」


  「隊長のような立派な騎士になれますように」

 
シオン 「またしても騎士団見習い諸君の短冊だな、これは。誤字がないのは感心、感心。字も綺麗だぜ」
 キール 「きちんと書けたか、まあ……合格と言うところだろう。写本の甲斐があったな」
シルフィス 「ありがとうございます」
ガゼル 「くそ〜」
セイリオス 「はやくちゃんとした騎士に叙任されるとよいな」
シルフィス 「はい!」
 シオン 「慕われてるねぇ。隊長さん」
レオニス  「……」
アイシュ 「ふたりとも、がんばってくださいね〜」
 シオン 「んじゃ、次にいってみっか」


 「お金が儲かりますように」

 
イーリス 「夢がありますねぇ」
一同 「どこが!?」
イーリス 「わたくしはただ、素直な心で望んだまで、ですよ」
シオン 「あっはっは、素直ねぇ、こりゃ傑作だ」
イーリス 「何か言いたいのですか?シオン」
シオン 「別に。お前さんのそういうところが好きだぜ」
イーリス 「貴方に好かれても、嬉しくありませんよ」
レオニス 「…………」
メイ 「あたしも欲しいなぁ、お金」
キール 「だからといって、小遣いばかりせびるんじゃないっ!」
メイ 「ふんだ、言ったってくれないくせに。マジックショーでもやってみようか、こんど」
アイシュ 「いいですねぇ〜」
キール 「よせ。おまえのファイアーボールのお手玉は……観ている方が危ない……」
ディアーナ 「お小遣いって、なんですの、お兄さま?」
セイリオス 「おまえは、いつもなにも持たずに街へ出かけるのか?」
ディアーナ 「まあ、お兄さま、なにを仰っていらっしゃるんですの?ぜんぜんわかりませんわ」
イーリス 「今度からは、ちゃんともつものを持たせてやってくださいませ、殿下。付け払いもほどほどにしていただきたいものです」
セイリオス 「ディアーナ!」
 ディアーナ 「ホホホ……さ、シオン。そろそろ次の短冊にいきましてよ!」
シオン 「へいへい。そんじゃあ、これだな」

 「”わたくし”の王子様に会えますように」

 
シルフィス 「(…………ドキッ。大胆だなぁ)」
メイ 「ろまんてぃっく〜♪」
シオン 「清らかな乙女心だねぇ」
イーリス 「ええ、とても麗しい想いだと思います」
セイリオス 「おまえたちが揃って言うと、なんだか、別の意味で深みのある言葉に聞こえるぞ」
おまえたち 「いえいえ、王子である殿下にはかないません」
セイリオス 「なっ!?」
レオニス 「…………」
ガゼル 「やっぱり、王子様は馬に乗れなきゃダメだよな、馬!」
メイ 「アンタ、もしかして王子様やりたいの?」
ディアーナ 「ガゼルではダメですわ。”わたくし”の王子様は、もうすでに……はわわ」
セイリオス 「そのためにも、いろいろちゃんと勉強しなくてはならないね、ディアーナ」
アイシュ 「そのとおりです〜」
ディアーナ 「…………ぐぅ」
シオン 「ははは。さすがの姫さんも参ったみてぇだな。んじゃ次!」

 「国家安泰」
 

一同 「…………」

シオン 「おいおい…なんだよこの場違いな短冊は! アイシュ、書類かなにかと紛れちまったんじゃねぇのか、これ。取っ払ってくれ、まったく」
メイ 「・・・正月の絵馬じゃあるまいし」
キール 「(しかしこの筆跡……もしや)」
アイシュ 「いいではないですか〜。クラインの未来をこれだけ案じてくれている方がいらっしゃれば。どれだけ優秀な国王がひとり立とうとも、民意の集まりにはかないません〜」
イーリス 「わたしは、べつに国なんかなくても良いんですがねぇ」
レオニス 「…………」
ディアーナ 「それよりもみなさま、コッカアンタイとは、どういう意味ですの?」
シオン 「マジかい 姫さん?」
ガゼル 「あ、おれもおれも! まさか、こんなかたっくるしいヨンモジジュクゴ? 聞かされると思わなかったなぁ。意外だったぜ〜」
セイリオス 「諸君らの気持ちはよくわかった。今後の国政の参考にしよう」
シオン 「あは、あはははは! セイル、やっぱお前さんだったのか、これ!」
セイリオス 「わるいかっ! 願い事には変わりがないだろう!」
シルフィス 「でで、殿下らしいお願い事ですよ……さすがだと思います」
メイ 「かんでる。かんでるよ、シルフィス」
セイリオス 「次に行ってくれ、シオン」
シオン 「おいおい、こ〜んなおもしれ〜のにか?」
セイリオス 「シオン!」
シオン 「へ〜へ〜」

 「世界が平和でありますように」


 
セイリオス 「ほらみろ、言わないことではないか! 私と同じ心の者がいるのだ!」
シオン 「だーっ、うるさい、えばるな!」
シルフィス 「でもこれ、誰の短冊なのでしょうか」
シオン 「おっと。よく見ると、こめられた祝福の聖印は、この国の女神官のもんだぜ」
アイシュ 「では……どなたかが、祈ってくださったのですね〜」
ディアーナ 「お兄さま、よかったですわ。隠れファンですわ、きっと」
メイ 「意外ともてるんだね〜」
ガゼル 「おれ、こういう張り紙を街の路地裏でみたことがあるぜ。なんかこう、垣根とかにてきとうに張り付けてあるんだよな、アレって」
イーリス 「効き目が薄そうですねぇ」
レオニス 「…………」
キール 「つまり、対象は無差別、というわけか…」
セイリオス 「次に行ってくれ、シオン」
シオン 「ほいよ♪」

 「キールがちゃんと寝ますように」
 「姫様がちゃんと勉強してくださいますように」
 「おいしいケーキのレシピが手に入りますように」
 「王宮で迷子になりませんように」
 「領収書をきちんと貰って公費削減を心がけてくださいますように」

 
 
シオン 「……まだあるな、この短冊。びっしりと書き込まれているぞ。もうこれくらいでいいだろ、アイシュ」
アイシュ 「ちゃんと最後まで読みあげてくださいよ〜」
シオン 「飽きた!」
メイ 「欲張ってもダメなんじゃないの、こういうのって?」
イーリス 「それにしても、どうでも良いような事ばかりですね…」
ガゼル 「アイシュって、王宮勤めだろ? なんで迷子になるんだぁ?」
アイシュ 「あは、あは、あははは」
キール 「オレはガキか、ったく! だいたいなんで”キール”って名指しなんだっ」
メイ 「そ・こ・ら・へ・ん・が、じゅうぶんガキなんじゃないの?」
キール 「なにを?」
ディアーナ 「わたくしのお願いはすぐに叶えられますわね。だって、いつでもちゃんと、お勉強してますもの」
レオニス 「…………」
シルフィス 「わたしは、アイシュ様のケーキって好きですよ」
アイシュ 「ありがとうございます〜」
シオン 「そろそろ次にいこうか」
セイリオス 「待て。一番最後になにか、聞き捨てならないことが書かれていなかったか」
アイシュ 「帳尻を合わせるぼくの苦労も考えてくださいよ〜」
シオン 「あっはっはっは! ……というわけで、ぜったい次っ」

 「雪見大福が食べたい」
 「新しい服が欲しい」

 
シオン 「食い気が先ってのが実に嬢ちゃんだな」
メイ 「・・・なんで判んのよ」
アイシュ 「ゆきみだいふく……僕のレシピには無い食べ物ですね〜今度教えてください〜作ってみます〜」
ディアーナ 「試食はわたくしも御相伴しますわ♪」
メイ 「うんうん、一緒に食べようディアーナ♪」
キール 「それよりもシオン様、予算下さい」
シオン 「おいおい、何で俺にお鉢が回るんだ?」
キール 「今のところ院の予算のほとんどが、こいつが壊した備品や設備の補完に充てられていますので、服を買い与える余裕が無いんです。何時までもこんな常識外れの短い服を着せておけませんから」
メイ 「なによそれ!?可愛い制服は乙女のロマンよ。新しいのだって絶対ミニにするんだから!」
キール 「お前な、回りの迷惑も考えろ」
シルフィス 「まあ・・・確かに、時々目のやり場が・・・」
ガゼル 「犬や風どころか、自分の足で蹴たぐってるもんな〜」
メイ 「ちょっとぉ、なによ〜」
シオン 「キールなんぞに頼らなくても、俺がいくらでも可愛いのを買ってやるぜ」
メイ 「いらん!後が怖い」
シオン 「即答かよ」
レオニス  「……」
セイリオス 「確かに、何時までも着たきり雀は可哀想だね。アイシュ、特別に予算を通すように」
アイシュ 「判りました〜よかったですね〜メイ〜」
メイ 「うんうんうんうん♪やっぱ持つべきものは権力者の知り合いよね♪」
イーリス 「権力もこういう使い方なら、迷惑する人も出ませんけどね」
ディアーナ 「メイ、わたくしも『ミニ』が着てみたいですわ、今度とりかえっこしましょうね♪」
セイリオス 「却下だ」
ディアーナ 「まあっお兄様。横暴ですわ!権力者からの迷惑をわたくしが受けているんですわ」
シオン 「職権乱用して、公私混同しねぇうちに、次行くか?ん?こりゃなんだ?」


 
シオン 「ちょっとこの文字は、えっと……そういうことか(ぶつぶつ)」
ディアーナ 「あら、どうしましたの、シオン。ちゃんと読みあげてくださいな」
アイシュ 「これは、神話文字ですねぇ。ぼくも解読表がないと読めません〜」
シオン 「そ、だから俺にも読めねぇや」
キール 「…………ぜったい、オレが帰してやるからな」
 メイ 「キール……何でいうかな……」
シオン 「だーっ! このバカ!」
キール 「う……」
イーリス 「だいたいの事情は察しました。乙女心を踏みにじる無粋、いやですねぇ」
メイ 「ちょっと恥ずかしくてね。わからないように書いたつもりだったんだけど……でも驚いたんだから、キールから読み書きを教わったときに、この世界の神話文字が、あたしの知っている言葉だったなんて知ったときには。おまけに喋ってるのは日本語だもんね〜」
ディアーナ 「わくしたちの言葉はカダローラ語ですのよ」
メイのアンチョコ50音表 メイ 「なんと、それがあたしにとっちゃ日本語なのよ。異世界なのにいきなし言葉通じるじゃない。はじめはファンタジーのお約束かと思ってたけど、CDやプラスティック製品が骨董品って聞いた時にはぶっ飛んだわ。あたしの世界の日用品だったんだもん」
ガゼル 「へぇー。じゃあ、メイはオレたちのご先祖様ってわけ?」
 メイ 「えっ? そう……なるのかな……キール?」
キール 「莫迦かお前らは! そんなわけないだろう。だいたいだな、お前のような先祖と、このオレが血の繋がりがあるだなんて、仮定するだけでも不可能だぞ」
レオニス 「…………」
アイシュ 「キール〜そんな事言っては駄目ですよ〜」
シルフィス 「それはちょっと言い過ぎですよ、キール」
メイ 「いいのよ、シルフィス! あたしの方からお断りよ、ったく」
シオン 「ではそろそろ次に行こうかなぁ?」

 
 「莫迦がまわりからいなくなるように」

 
メイ 「バカってあたし!? キール、アンタでしょ、この短冊!」
キール 「ほう。自覚があるだけ多少は見込みがあるというもんだな」
アイシュ 「キール〜、ダメじゃないですか〜」
メイ 「鉄拳グーじゃ!」
キール 「おっと、まったく、口で勝てないとなったら、腕力か?お前の行動は、先が読めすぎるんだよ」
メイ 「ガルルルルル・・・」
シルフィス 「それくらいにしてはどうですか、ふたりとも」
メイ 「フン!」
キール 「あー、やだやだ」
シオン (やれやれ)
イーリス 「ドングリの背比べ、ということもありますからねぇ」
レオニス 「…………」
シオン 「さてと……」

 「シオン様がわたくしの望み通りになりますように」

シオン 「まいったなー、オレ様宛のメッセージじゃねぇか。しかも気が利いてる」
セイリオス 「自分で書いたのだろう、おおかた」
シオン 「んーなヒマじゃね〜の、俺は!」
イーリス 「意味深長ですねぇ。しかし、夜這いの予告ですかね、これは?」
ディアーナ 「ええっ、そうなんですの?そうなんですの?シオン♪」
シオン 「さぁてね♪さぞかし俺を、なんとかしてぇんだろうさ」
シルフィス 「積極的ですね」
レオニス 「私室の宿直を増やし、護衛の強化を図りましょうか?」
セイリオス 「うむ、その提案は一考するに値するだろう。ひょっとしたら、恋路を装った奇襲かもしれない。こんな奴だが一応親友だし、お前はクラインの大事な頭脳でもある。失いたくはないからな」
シオン 「おまえらっ、う・る・さ・いっつーの!」
メイ 「楽しそうだね、シオン?」
ガゼル 「目の輝きがいつもとちがうよなぁ」
シオン 「次の短冊っ!」

 「ぷらすてぃっくのホワイト・ソードを一本所望」
 
シオン 「なんだこりゃ?」
メイ 「プラスティック製の白い剣…?…子供向けのおもちゃよ、それって?」
レオニス 「…………希望を書けといわれたので」
ガゼル 「隊長がほしい剣なら、オレも欲しいぜっ!」
シルフィス 「わたしもぜひ一度、手にしてみたいものです」
キール 「保存程度が良ければ、骨董的な価値は上がりますからね」
レオニス 「うむ。ぷらすてぃっく系は、年代特定がしにくいのだが、ホワイトソード類は、そもそもの作りが非常に軟な為、大量に出土している割には、状態の良い物はほとんど無いのだ。だから稀に無傷のものが出れば、その価値は計り知れない。当然値段も張る」
ガゼル 「俺、こんなに喋る隊長はじめて見た」
シルフィス 「うん・・・」
シオン 「好きなものになると、途端に饒舌になるな、隊長さん」
セイリオス 「われわれの世界がおもちゃになり、おもちゃの世界がわれわれの力、とはな。メイ、いったい君はどういう世界から来たんだい?」
メイ 「そんなこといったって、あたしの世界じゃ、剣と魔法の方が夢物語なんだもの」
アイシュ 「ふしぎですね〜」
イーリス 「歌は、音楽はどうでしたか」
 メイ 「イーリスなら、どこに行っても通用するわよ」
イーリス 「額面通りに頂きましょう。ありがとうございます」
ディアーナ 「わたくしの歌は、どうでしょう?」
メイ 「ごめーん。あたし、ディアーナの歌、まだ聴いたことがないんだ」
ディアーナ 「それでは今度、ぜひ神殿にいらしてくださいな」
セイリオス 「ディアーナ! 歌の練習ばかりしていないで、ちゃんと勉強もするのだぞ」
ディアーナ 「わかってましてよ、お兄さま」
セイリオス 「本当にわかってくれているなら、こんなに苦労はしないのだが(ブツブツ)」
シオン 「お前も苦労するよなぁ」
セイリオス 「妹と親友の両方だからな」
シオン 「えっと。残りの短冊は……っと」

 「『おふくろさん』の手料理に憧れる」

 
シオン 「あは、あははは! なんだか、小さな夢だなぁ(げらげら)
メイ 「ちょっと。あと、シオンしか残っていないはずなんだけど?」
シオン 「え? でも、オレじゃないぜ、これは」
シルフィス 「わたしは、手料理っていいなと思います」
アイシュ 「料理は楽しいんですよ〜。こんど、一緒にお菓子でも作りましょう〜」
シルフィス 「ええ、その時はよろしくおねがいします」
ガゼル 「やった! それじゃあ、オレが味見役と言うことでいっしょに行こうっと」
ディアーナ 「ではわたくしが、お茶の用意をいたしますわ」
セイリオス 「楽しそうだね。そんなお茶会には、ぜひ呼ばれたいものだ」
ディアーナ 「もちろんですわ、お兄さま」
キール 「しかし、誰なんだろうな、この短冊の願い主は?」
イーリス 「きっと、通りすがりの寂しがりやさん、なのでしょう」
シオン 「次に行くぞ」

 「かわいいぼくの織姫さん、はやく君と会いたいな。七夕の夜、あの木の下で待ってます―彦星」

レオニス 「…………」
セイリオス 「恥ずかしい奴だな、まったく」
シオン 「だいたい、この短冊にメッセージして、ほんとに相手に伝わると思っているのかね?」
キール 「勘違いした輩が大勢同じ木に集まっている絵は、ちょっと想像したくありませんね」
シオン 「そこらへんの木の陰で、様子みてるんじゃねぇのか?」
レオニス 「……!?」
シオン 「頭の黄色い猫だよ。気にすんなレオニス」
メイ 「これって……クラインにも、七夕伝説のことを詳しく知っている人がいるのねー。感心、カンシン」
アイシュ 「言われてみると、そうですよねぇ〜」
イーリス 「シオンではないのですか?」
シオン 「残念ながら、それがしはかのような詩才には恵まれておらず、云々かんぬん」


一同 「うーん……」
ディアーナ 「でも、きっと、願いは届くはずですわ。頑張ってくださいね、彦星さん」
シオン 「ではお次」

 「パパとママに会いたい」

 
レオニス 「…………!」
シオン 「おいおい、さっきの彦星と織姫のことじゃねぇのか、これって?」
メイ 「あのふたりは恋人よ。子持ちじゃないわ」
ディアーナ 「わかりませんことよ。順番なんて!」
レオニス 「…!!」
セイリオス 「ディアーナ!」
ディアーナ 「言ってみただけなのに〜、お兄さまの石頭」
レオニス 「…………」
シルフィス 「この方は、孤児なのでしょうか」
シオン 「ここ数日の外来者記帳は、アイシュ?」
アイシュ 「はいはい、しばらくお待ちくださいね〜(ガサゴソ)…………目立つところでは、え〜、ローゼンベルク家にブラウエン家の名前がありますねぇ」
セイリオス 「!!」
シオン 「な〜るほど」
ガゼル 「?」
メイ 「なにが?」
イーリス 「ほぉ〜♪」
ディアーナ 「謎は深まるばかりですわ」
キール 「・・・姫。こういったことには、ヘタに首を突っ込まない方が無難ですよ」
ディアーナ 「だって! シオンがいけないんですわ。思わせぶりなだけで、ひとりニヤついているなんて」
レオニス 「…………」
シオン 「まあ、まあ。いたいけな子の願いが叶うかどうかは星しだい。うおっほーん。さぁて、いよいよ真打ちのお出ましといこう!」

 「有給休暇前借り申請」

シオン
「殿下、よろしく」
セイリオス 「私の方がほしいぞ」
シオン 「またまた」
セイリオス 「たまにはいいだろう」
シオン 「おいおいセイル」
メイ 「あきらめたら?」
シオン 「……はぁ」
ディアーナ 「これでお終いかしら……(がさごそ)あら? こんな奧に、まだありましてよ、ホラ」

 「王立園芸部員募集中」


 
メイ 「シオン、アンタ2枚も書いたの?」
キール 「誰かと同レベル、ですか・・・」
メイ 「うっさい!」
シオン 「あっはっは、みつかっちまったか」
セイリオス 「宮廷をこれ以上私物化しないように! 花壇が増える一方だ(ぶつぶつ)」
アイシュ 「国庫はいつでもピンチなので、たまには外に花を売りにいってくださいね〜」
メイ 「だめよ、シオンは。花を摘むばっかなんだから」
シオン 「つぼみは、花開かせてみせましょうとも。愛でるのはそれからでも遅くねぇからな」
イーリス 「種まきはほどほどに」
シオン 「んなヘマするかよ」
レオニス 「……・」
ガゼル 「なんか、すっげ〜オヤジ臭くねぇか?この会話」
シルフィス 「…………ウン」
シオン 「というわけで、土いじりをしたいやつはいつでも入部してくれ。初心者大歓迎だ、待ってるぜ!」

 
シオン
「こんなとこかねぇ?姫さん」
ディアーナ 「お勉強はこれでおしまいですの?ためになりましたわ」
セイリオス 「何時授業したんだ?」
シオン 「今までずー〜っと文字のお勉強してたじゃねぇか。現代カダローラ文字と、神話文字と嬢ちゃんの世界の文字の対比もできたしな」
セイリオス 「あれで、か?」
シオン 「気にしない気にしない」
ディアーナ 「みなさま、ごくろうさまでした。とても楽しい集まりでしたわ。シオン講師も、ご苦労様ですわ」
シオン 「いえいえ、どういたしまして」
ディアーナ 「では、お勉強はここまで、お茶会にいたしましょう♪」

おつかれさま〜お菓子いかが?ビスケットも美味しいよティータイムハーヴティー美味しいよ〜たくさんあるよ〜人数多いから〜おかわりは任せて〜もういっぱい〜さて、我々は何客でしょう?カップの数は客って数えるんだよ〜箸休めは鉢だよ〜

おまけ
メイ 「あれぇ?もういちまいあるよ、短冊」
シオン 「へ?なんだそれ、さっきは無かったぜ」

「子供達と愛する人が、幸せになってくれますように」

 
ディアーナ 「まあ、なんて優しい願いなんでしょう」
ガゼル 「かーちゃんみてぇだなぁ」
セイリオス 「・・・この筆跡は・・・」
レオニス 「!?」
ディアーナ 「?お兄様、レオニス。どうしましたの?」
アイシュ 「キール?何で竹の方を見ないんですか〜?」
キール 「うるさいんだよ。何でもない」
シオン 「・・・見えてるのか?
キール 「………………・竹の向こうにいらっしゃいます……」
シルフィス 「……深く追求しない方が良いのかも・・・」
イーリス 「短冊に篭められた、優しさだけを頂く事にいたしましょう」
メイ 「そ〜いや、もうすぐあたしの世界じゃお盆だわ・・・」
シオン 「とっておきの茶を、淹れてやるぜ」
セイリオス 「そうしてくれ、きっとお喜びになる」

 
 
 
  

マリーレイン様に白薔薇を・・・プラウザを閉じてください


 
 
 講義終了



製作熊野郷
assistant砂の山

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Warning
アイコン画像は製造元である富士通ファンタスティックフォーチューンオフィシャルサイトよりの使用許可を得て使用させていただいているものです。
無断での持ち出し及び転用は、失礼ながら禁止させていただきます

なお、講義内で使用されている文字は、
熊野郷がエーベルージュのプロデューサーのアドバイスを受けて
個人的に作製したカダローラフォントです。
こちらは配布しています
問い合わせは熊野郷へお願いいたします